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災害対策

はじめに

2011年の東日本大震災・2016年の熊本地震・2019年玉川洪水では多くの飼主様と動物が被災しました。近年は毎年各地で必ずといっていい程水害が全国各地で発生しています。東海地方も南海沖地震などいつ大震災に見舞われてもおかしくない地域です。

東北、熊本でも人だけでなく動物たちも被災し不自由な生活を送っています。私も被災地と関わってきましたが、現地の獣医師達から災害時の動物たちへの対策が十分でなく『同じ失敗をしないでほしい』と強く訴えられています。

災害時は全てにおいて人が優先されることは仕方のないことですが,平穏な毎日で忘れがちになるります準備を行っておくことで少しでも動物たちが大変な思いをしなくてすむようにしていきたいものです。

 

同行避難について

 住んでる家が倒壊などでやむを得ず避難所生活を余儀なくされた場合、東日本大震災以後環境省は飼育動物との『同行避難』を推奨しています。これに習い名古屋市も各避難所での同行避難を基本として準備を進めています。

名古屋市獣医師会としても,東北・熊本など被災地の獣医師からいろいろなアドバイスを受け名古屋市と対策会議を進めていますがまだ課題は山積しています。

 

 東日本大震災では,動物との同行避難を行政が想定しておらず混乱しました。熊本では,東北の教訓を得て獣医師会と行政が協定を結び同行避難も行政指導の下に認められていましたが,あちこちで揉め事が起き機能しませんでした。2019年の玉川洪水では,避難所に動物との同行避難を拒否された事例も多々ありました。これは、行政は把握していても避難所を管轄する自治体が同行避難について理解していなかったためです。

 

 基本的な事として,避難所は『避難者の自治により運営される』ということです。簡単にいえば『避難した人々が協力し運営していくもの』ということで行政は場所を提供するだけです。ですから,現場を仕切るのは行政ではなく自治会です。国や市が同行避難を推奨していても,自治会や多くの避難者が『動物なんてとんでもない!』となった場合に行政は口出しできません。熊本からの教訓は、こうした環境省の決定を市が把握していても、実際に避難所を運営する自治会には全く伝わっていなければ意味がないということです。

 

 現在いかに各避難所に同行避難に対する理解を促すかを検討しています。これは、私の私見ですが行政といっても国→県→市→区と違う組織の縦割りであるため、大きな都市になればなるほどフットワークは鈍くなります。従って自治会レベルで平時のうちに何らかの形で地域の人々に同行避難について理解してもらう努力が必要と思われます。会合があるなら議題に挙げる、回覧板で定期的にまわすなど、さまざまな方法で周知していくことが大切です。行政に頼らずお住まいの自治会に普段から打って得ておくことは大切だと思います。

 

 避難所は、『避難をすれば行政が面倒をみてくれる場所』ではなく,避難してる人々が自ら助け合い運営していくものです。避難した人たちが受け身であってはいけません。『自分自身は自らで守る主体性が最も大切である』ということを認識しなくてはなりません。準備は平時に行っておくことが重要です。先例から見ても有事の際では興奮状態であるため話し合いは困難です。平穏な時に理解してもらう事が大切です。

 

 私は獣医師ですから動物サイドに立ってものをみますが,『動物も家族なんだから!』という自分の権利を振りかざすとうまくいきません。地域の自治区であることを認識してください。実際にあった例で、『この子は家族ですし人には危害を加えませんから!!』と

ルールを守らず人間のエリアに小型犬を連れてきてしまった事がいくつか見られました。重度の動物アレルギーの子供をもつ親や動物が苦手で動物がいるだけで血圧が上がってしまう老人からすれば、これは受け入れられないことです。私自身も重度な動物アレルギーの子供を持っています。私の隣にそのような人が来て、話し合っても理解してもらえない場合、子供を連れて避難所を出るしかありません。

 

 大切なことはお互いを思いやり皆で落としどころを考えることです。

自らを守るためにはルールだけではうまくいかないようです。

各避難所で避難している人々が行政の決めたルールを基本に、

グレーゾーンを考えていくこと重要かと思われます。

もちろん、我々も行政と協議を重ねて各自治会に理解を求める活動は今後も続けていきます。

 

 

同行避難で準備するもの

・飼育動物をケージに入れて避難所に入る

・5日分水・食料、ペットシーツ、排泄物用ビニール袋、ケージ、リードを持参

・人と動物は同室避難はできない、動物は指定された場所でケージに入れて生活する

・動物アレルギーの人や極端に苦手な人もいることを理解する

・避難所で他人や動物に迷惑をかけないよう日頃から躾をしておく

   (例:クレートトレーニングなど)

 

この他にも細かい注意点はありますが基本的に上記ことが基本です。

 

 

マイクロチップとは(重要性)

 マイクロチップは皮膚の下に数㎜のチップを注射器で埋め込むことで、

もし動物とはぐれても行政や獣医科病院に保護された場合リーダーで個体識別が可能にするもの。

簡単に言えばマイクロチップを装着し登録することで、

はぐれてもすぐ飼主を特定することができるシステムです。

 災害時はぐれてしまった場合に探し回ることで二次災害の可能性もあります。

マイクロチップを装着することで安心して待つことができます。

東北では保護された動物で装着が確認されたのは一頭だけで、

獣医師達は『マイクロチップを入れてくれていたら』とつぶやいていたのが印象的でした。

行政から補助金もでますので是非ご検討ください。

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